上司の甘い復讐



髪をワックスで散らしているのはいつも通りだが、紺色のジャケットに白いカットソー、ジーンズ。

一見普通の服だが、清潔感があってなんだか上手な着こなしだ。



「翔太さん、久しぶり!

また会えて嬉しいよ」


なんてミキになりきる私に、


「俺も嬉しいよ」


奴はそう言って不意に手を握る。

急に握られたものだから、心臓が一瞬止まった。

そして思い出したかのように、バクバク激しい音を立て始める。

おまけにいい香りまでして、ハゲ崎に身を寄せてしまった私。

周りから見たら、ラブラブな恋人以外の何者でもないだろう。


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