溺愛されては困るのです ~伯爵令嬢、麗華の憂鬱~
 涼風家は公家出身で、芸術に造詣が深い。

 裕福ではないが、芸術家の卵たちをサロンに呼び、お披露目する機会を作ることで応援している。小百合も尊敬する両親の思いを継承しようと頑張っていた。

 原作ではいくつか不手際があった。
 麗華はそれをあざ笑っているが、もちろん今回はフォローに回るつもりだ。

 まずひとつは小百合のドレス。

 小百合のドレスは古いものをリメイクしたものが多い。
 センスがいい小百合のリメイクドレスは素敵で評判がよかったが、小百合自身は新しいドレスが欲しかった。

 だが、ドレスのレースや生地は輸入に頼っているので高級だし、着物以上に手に入りにくい。家族思いの小百合は欲しいという気持ちを隠していたのである。

 原作で麗華はドレスの綻びを見つけ嘲笑う。

 もちろん今回は笑ったりしないが、舞踏会でのお詫びと称してドレスを贈っておいた。

 ドレスを新品で作るにはひと月はかかるので、クローゼットの中から小百合に似合いそうな清楚なものを二着選んだ。
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