溺愛されては困るのです ~伯爵令嬢、麗華の憂鬱~
 まったく袖を通していないし、背格好はほぼ同じなので問題ないはずだ。

 ちなみに小説では、その場でブレスレットを外し、小百合にお詫びだと渡している。

 無理やり押し付けられた小百合は困っていた。
 使えば嫌味を言われるだけだし、売るわけにもいかない。結局ブレスレットは宝石箱の肥やしと化するしかなかったのだ。

 ドレスも嫌味を恐れて着れないという恐れがあったが【是非、今日のお茶会で着ていただきたいわ】と強引なメッセージをつけたので、着てくれるはず。


 そしてもうひとつはデザート。

 小説では、出された菓子が人数の割にとても少なかった。

 麗華がバカにして『美味しいお菓子を食べに行きましょうか』と、令嬢たちを引き連れ有名洋菓子店『パティスリー・モリ』に行くのだ。

 小百合は悲しい思いで彼女たちを見送る。

 思いだすと切なくなる。
(かわいそうに……。まったく本当に意地悪なんだから)

 なので今回は、手土産代わりにパティスリー・モリにケーキや焼き菓子を注文してある。今朝には届いたはず。
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