溺愛されては困るのです ~伯爵令嬢、麗華の憂鬱~
「三人が亡くなったのは、君にはショックかもしれないが、彼らは捕まれば間違いなく死刑だった。強盗に殺人、あらゆる悪事をはたらいていた。刑の負担を考えれば、俺は結果的によかったと思っている」

 だとしても。
 このまま彼の優しさを受け入れるわけにはいかなかった。

「実は私――」
 麗華は正直に言った。

 小百合を襲う計画を立てて、阻止するために行ったのだと。

「私は鬼に襲われるべき人間なんです。彼らじゃなく私が」
「麗華、それは違う」

 話を切られて、しかも麗華と言われて、驚いて彼を見た。

「結果的に君は阻止しようとした。家にいた小百合さんもちろん無事だし、君は実際に襲われかけて十分罪を償ったんだ」

「わ、私は……」
 涙が溢れてくる。

「大丈夫。もう心配ない」
 隣に移動してきた流星に肩を抱き寄せられて、背中をさすられて。

「でも、あなたは小百合さんを……」

 流星はかぶりを振る。
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