念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される
だってそうしないと、私の望みは叶わない。
「オーガスト様。
シャローラ様は親切に教えてくださっただけなので、婚約破棄までしなくても……」
おずおずと耀子が王子を宥めてくるが。
「私たちの話に、口を挟まないでくれます?
それとも私に、恩でも売りたいんですかぁ?」
彼女を見下し、思いっきり小馬鹿にして笑う。
これももちろん、計算の内だ。
「わ、私は、そんな」
泣きだしそうに顔を歪め、耀子が王子の陰に隠れる。
おかげで彼は、ますますヒートアップしていった。
「君って人はいつもそうだ。
誰も彼も見下して。
そんな君にはほとほと愛想が尽きた。
ここに婚約破棄を宣言する!」
ビシッと王子が、その指先を私に突きつける。
凄いドヤ顔なので、決まった!とか思っているのかもしれない。
しかしゲームでは格好いいと思っていたが、実際に自分がやられるとムカついた。
「……そうですか」
緩む口もとを見られないように、俯く。
ここまで本当に長かった。
頭を打って、前世の記憶が戻ってきたのが五年前。
婚約者がいると知ったときは絶望したが、自分が悪役令嬢でゲームどおりに進めば婚約破棄だと気づき、ほっとした。
それからは苦手だけれど高圧的な人間を演じ、ゲーム設定からズレないように頑張った。
「オーガスト様。
シャローラ様は親切に教えてくださっただけなので、婚約破棄までしなくても……」
おずおずと耀子が王子を宥めてくるが。
「私たちの話に、口を挟まないでくれます?
それとも私に、恩でも売りたいんですかぁ?」
彼女を見下し、思いっきり小馬鹿にして笑う。
これももちろん、計算の内だ。
「わ、私は、そんな」
泣きだしそうに顔を歪め、耀子が王子の陰に隠れる。
おかげで彼は、ますますヒートアップしていった。
「君って人はいつもそうだ。
誰も彼も見下して。
そんな君にはほとほと愛想が尽きた。
ここに婚約破棄を宣言する!」
ビシッと王子が、その指先を私に突きつける。
凄いドヤ顔なので、決まった!とか思っているのかもしれない。
しかしゲームでは格好いいと思っていたが、実際に自分がやられるとムカついた。
「……そうですか」
緩む口もとを見られないように、俯く。
ここまで本当に長かった。
頭を打って、前世の記憶が戻ってきたのが五年前。
婚約者がいると知ったときは絶望したが、自分が悪役令嬢でゲームどおりに進めば婚約破棄だと気づき、ほっとした。
それからは苦手だけれど高圧的な人間を演じ、ゲーム設定からズレないように頑張った。