甘さはひかえめで。
変わらないで



「乃々、一緒に帰ろうぜ」

「え?」


授業が終わってさぁ帰ろうとリュックを背負ったら

隣でゆっくり帰る準備をしてる燿がそう言った。


「燿…いつも遅くまで残ってるんじゃないの?」


私はいつも茜くんと一緒だからすぐ帰っちゃうけど、

燿はいつも部活だし、部活がない日は遅くまで教室で友達と駄弁(だべ)ってること知ってるよ? 今日田中くんが言ってた。


「茜クンいないんだろ?
乃々一人じゃん」

「うん。べつに一人で帰れるけど」

「……心配じゃん。
声かけてくるヤツとか、絶対いると思うけど?」

「いや…声かけられたことないし」

「それは茜クンがいたからだろ。
いなかったら声かけられるかもしれねーじゃん」

「そんなバカな」


15年の人生でそんなこと一度もないけどな。



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