甘さはひかえめで。
燿は意外に心配性なんだ?
「とにかく心配だから、一緒に帰る」
「一緒に帰るって…燿の家って私の家と方向逆だよね?」
それも今日田中くんに聞いたよ?
「乃々を家まで送ったら帰る」
「手間じゃん!
いいよ送ってくれなくて!」
あの燿がわざわざ送ってくれるなんて、
それを借りにして後でなんか要求してくるつもりか!?
「本当に一人で大丈夫!
茜くんのお見舞いに持っていくものも買いたいし」
「は?茜クンのお見舞いだと?」
その時、燿がピキ、と青筋を立てた。
「そんなの尚更、一人とか無理だろ」
「なんで?
あ、私おつかいすら一人で出来ないと思ってる?」
どこまで私のことバカにしてるんだ!
「ちげーよ。
……けど、茜クンの見舞いってそれ、茜クンとふたりになるってことじゃ…」
「え?ボソボソなに?
用がないなら私急ぐからね!」
「は?用はある……っておいコラ!!」
いつまでも燿と話してたら遅くなっちゃうと思って、燿から逃げるように走って教室を出た。
燿はまだ帰る準備できてなかったみたいだし、たぶん追ってこれないだろう。