甘さはひかえめで。


息を切らした私を見て、クスッと笑う茜くん。


あ…

いつもの茜くんに戻ってるかも。


「本当はね、たくさん食べたほうがいいと思って。
そしたら消化が良いものかなーって、やっぱりうどんかなーって思って、
鍋焼きうどんを買おうと思ったんだけど」

「ぶふっ!」

「えっ!なんで笑うの!?」

「お見舞いに鍋焼きうどんはないでしょ」


耐えきれなくなったように、茜くんはククッと笑いが止まらない。


……やっぱり茜くんは意地悪だ。

だけど、私はそんな茜くんが好き。

意地悪だけど、見下されてるけど…それが私の知ってる茜くんだもん。


「……いつもの茜くんだ」

「……え?」

「球技大会の時、変だったから…」

「次の日ご飯食べたときには普通だったつもりだけど?」


たしかに、球技大会の次の日にはナポリタンを振る舞ってくれたけど…

あのときも、いつもより気まずかった。


「……ちょっとだけ、壁感じてたよ…」

「それは…ごめん」

「全然いいんだけどね!?
……だって、私が気付かないうちに茜くんを怒らせたからだし…」

「……乃々が悪いわけじゃない。
俺の問題だから」


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