甘さはひかえめで。
「……茜、くん」
「…どうしたの?」
「………私、今日はもう帰るね。
ほら、私がいるとうるさいでしょ?
お見舞いに来たんだし、茜くんにはしっかり休んでもらいたいから」
茜くんの顔を見れなくて、お辞儀をしてすぐに茜くんの家を出た。
……茜くんと、普通に話せて嬉しかった。
変わらないままが、私も幸せだと思っていたのに。
私は、どうなることを望んでいるのだろう?
*
隣の自宅に戻ってスマホを開くと、メッセージが来ていたことに気付いた。
「……燿だ」
何か急用かと思ったけど、そんな内容でもなかった。
ただ一言、『明日、おぼえてろよ』と。
……燿が一緒に帰ろうって言ってくれたのに、無視しちゃったからなぁ。
怒ってるんだろうなぁ…。