甘さはひかえめで。


「……茜、くん」

「…どうしたの?」

「………私、今日はもう帰るね。
ほら、私がいるとうるさいでしょ?
お見舞いに来たんだし、茜くんにはしっかり休んでもらいたいから」


茜くんの顔を見れなくて、お辞儀をしてすぐに茜くんの家を出た。


……茜くんと、普通に話せて嬉しかった。

変わらないままが、私も幸せだと思っていたのに。


私は、どうなることを望んでいるのだろう?







隣の自宅に戻ってスマホを開くと、メッセージが来ていたことに気付いた。


「……燿だ」


何か急用かと思ったけど、そんな内容でもなかった。

ただ一言、『明日、おぼえてろよ』と。


……燿が一緒に帰ろうって言ってくれたのに、無視しちゃったからなぁ。

怒ってるんだろうなぁ…。


< 109 / 139 >

この作品をシェア

pagetop