甘さはひかえめで。


うーん…

案内するだけなら、待ち合わせ時間にも間に合うかな?


「じゃあ、行きましょう」


歩きだしたら

突然ぎゅっと手を握られた。


「……へ?」

「ごめーん、はぐれそうだから握ってていー?」


3人のうちの1人がニヤニヤしながら言う。

いや…子どもじゃないんだからはぐれるとかなくない?

なんか、手…

触り方、気持ち悪いし…!


「あの…っ、それはちょっと…!」

「なんでー?いいじゃん手ぇ繋ぐくらい。
小学生でもやってるよ?」


私の手をスリスリといやらしく触ってくると

その直後に手が離れて、お兄さんの『いででで!』という声が響いた。


「小学生ははぐれないようにやってんだよ。
その歳で迷子になる心配してんの?
だっさいねー」

「燿…っ!」


私に触ってた手を退けて捻り上げてたのは、ふぅ、と息を吐いた燿だった。


「あーよかった。変な虫を追い払えて」

「えっと、か、彼氏サン…?」

「んー…どうだろ?
彼氏だったらこの手折っとかないと気がすまないかなー」


ニコッと笑う燿。いや、目は全然笑ってなかった。



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