甘さはひかえめで。


「あ、ま、真っすぐで2つ目の交差点右だっけ?
じ、自分で行きますねぇ…」

「あ…」


右じゃなくて左…

って訂正する前に、3人組のお兄さんたちは走って去ってしまった。

ていうかちゃんと覚えてるじゃん。


「……大丈夫だった?」

「えっ!?
あ、うん…ありがと…」


触られて気持ち悪いなって思ってたら燿が来てくれて…

ヒーローみたいだったな。

キャップを被って、ゆったりしたトレーナーとジーンズがよく似合う。

か…かっこいい、かも…。

ぽーっと見惚れてると、燿がショルダーバッグから除菌シートを取り出して。


「え?え?」


無言で私の手を拭いた。


「はぁー…やっぱ現地集合じゃなくて家まで迎えに行けばよかった…」

「え…」

「……だからこの前言っただろ。
絶対声かけてくるやついるって」

「あの日はかけられなかったよ?」

「今かけられてただろうが!」


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