甘さはひかえめで。



「あのさ」

「ん?」

「お好み焼きともんじゃ両方食べたいって言ったら怒る…?」

「なんで?怒んないけど。
両方食べたいの?」

「うん」

「じゃあ両方頼んで一緒に食うか」


燿が『すいませーん!』と店員さんを呼んで注文してくれる。

……もんじゃって鉄板から直接ヘラで突っつくイメージなんだけど…

燿は、私とシェアとかあんまり抵抗ないのかな。

私も抵抗があるわけじゃないけど…。


でも燿が何も言ってこないのに『抵抗ないの?』って言うのも気が引けて、

注文してくれた燿に『ありがとう』とだけ言って小さく頭を下げた。



その後すぐ、

先に注文してた先輩の器が届く。

このお店はお好み焼きも焼く前の状態で器に入ってて、自分で混ぜて自分で焼く。

先輩は慣れてるのか、すぐに混ぜて目の前の鉄板に流し込んだ。


「先輩スペース取りすぎ」

「いいじゃんキミらのまだ来てないんだから」


自由な先輩に、私はアハハ…と苦笑いをこぼす。

……今日ここに来たのは怪我させたお詫びってことだけど…

もし燿がいなくて先輩と二人きりだったら…プレッシャーで耐えられなかったかもしれない。


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