甘さはひかえめで。
*
「買っちゃった…」
「買いたいものないって言ってたくせに」
「燿だって!
なんで自分のためじゃなくて私のためにお金使うのさ!」
ショッピングモールで服とか見てたら
燿がすぐ『俺が買ってやる』って言うから…
お言葉に甘えて買ってもらっちゃったじゃないか。
「誘ったのは俺だしな。
おかげで良い思いしたろ?」
「………うん。ありがと」
「それ、
俺も気に入ってるから、
今度また俺と出かけるときは着て来いよ」
私の持ってる紙袋を指して言う燿。
「うん。かわいいからたくさん着る」
「いや…たくさんって」
「茜くんとお出かけするときも着ようかな」
ボソッと呟いたら
「いたっ!」
燿から軽くチョップをお見舞いされた。
「茜クンの前では着るな」
「えーなんで?」
「おまえは……本当に男心がわかんねーバカ女だな」
「………なんだよー」
最近はあんまり、私に意地悪言ってこなかったと思ったら
急に『バカ女』だなんて、ひどいこと言う。
優しくない。