甘さはひかえめで。






「買っちゃった…」

「買いたいものないって言ってたくせに」

「燿だって!
なんで自分のためじゃなくて私のためにお金使うのさ!」


ショッピングモールで服とか見てたら

燿がすぐ『俺が買ってやる』って言うから…

お言葉に甘えて買ってもらっちゃったじゃないか。


「誘ったのは俺だしな。
おかげで良い思いしたろ?」

「………うん。ありがと」

「それ、
俺も気に入ってるから、
今度また俺と出かけるときは着て来いよ」


私の持ってる紙袋を指して言う燿。


「うん。かわいいからたくさん着る」

「いや…たくさんって」

「茜くんとお出かけするときも着ようかな」


ボソッと呟いたら


「いたっ!」


燿から軽くチョップをお見舞いされた。


「茜クンの前では着るな」

「えーなんで?」

「おまえは……本当に男心がわかんねーバカ女だな」

「………なんだよー」


最近はあんまり、私に意地悪言ってこなかったと思ったら

急に『バカ女』だなんて、ひどいこと言う。

優しくない。



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