甘さはひかえめで。


「えと…よかったの?
私、邪魔じゃなかった?」

「いや、全然。
むしろあっちが邪魔してきたんだし」

「……えっと…」

「……?
なんだよ、なんか言いたいことあるのか?」


ん?と首を傾げる燿に

ごにょごにょと小さな声で呟いた。


「……さっきの、人、
……誰?」


そう呟くとき、もしも『好きな人』って言われたらって想像したら

言わなきゃよかったって思って、ハッと口を抑えた。

だけど、燿から返ってきた答えは違うものだった。


「あぁ。



あれ、母さん」

「…………へ?」

「母親」

「いや言い方変えなくてもわかる!!」


ポカンと口を開けていた私に、燿は2回も言った。

『好きな人』じゃなかった。でも、驚いたのはそれじゃない。


あの人……同級生の母親にしては、若すぎるような。



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