甘さはひかえめで。


「……あ、これ?」


茜くんがリュックから取り出した、1枚の紙切れ。

そこにはメールアドレスらしきものと、電話番号と、LINEのIDが書かれていて

下の方に「ひかる」と、お世辞にも綺麗とは言えない字で書いてあった。


「これ入れてきたってことは、
私から連絡しないと絶対怒られる…」


無視したら明日が怖いなぁなんて思っていたら


──ビリッ


小さい紙切れなのに、茜くんがそれを破いた。


「えっ、茜くん!なんで破くの!?」


文字、全然わかんなくなっちゃったよ…!?


「連絡しなくていい。
明日怒られそうになったら、俺が破いたって言っとけば」


そう言う茜くんの声は、少し棒読みで、何を考えてるかわからない。


それと、『言っとけば』って。実際茜くんが破いたんですけど…


私が八神くんに怒られないように、庇ってくれた?


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