甘さはひかえめで。
おそるおそる近づくと
私の席に座ってた男の子が、縮こまって近寄る私に気付いた。
「……あ、ここの席?」
「あ、はいっ」
私の席に座ってた男の子は、陽の雰囲気バリバリで、ちょっと怖くて…返事した声が裏返ってしまった。
しかし…カッコいい男の子だなぁ…。
「オラどけ。自分の席に戻れ」
「えー楽しく話してたじゃん!
ひでーよ燿!」
『燿』と呼ばれた、私の席に座っていた男の子は、
隣の席にいた男の子が席を立つと、その席にドカッと座った。
えっと…
私の席に座っていた男の子が、本当は隣の席の人ってことなのかな?
燿さんの席に座ってた男の子は、嫌そうに一番前の席へ戻っていく。
邪魔しちゃったかなと思って、すぐに座れずにいたら。
「……何ボーッと突っ立ってんの?
退いたんだからさっさと座れば?」
「あ……はい…」
燿さんにジロ、と睨まれて、あんまり大きな音を立てないように慎重に椅子をひいて席に座った。
う゛…やっぱりこの人、ちょっと怖い…。
この人が隣の席なんて…
この先ずっとビクビクしながら生きていくのかな…!?
うわーん!茜くん助けてーーっ!!