甘さはひかえめで。




中庭に着いて、ふたりでいつも通り、ベンチにお弁当を広げてお昼を食べる。

隣でお弁当を広げる茜くんの横顔を見て、なんとなく思う。

カッコよくて女の子に誘われるような茜くん。

……いつも私が隣にいて、いいのかな。


「…茜くん、いつも私に付き合ってもらってるけど、
他の友達とお昼食べなくていいの?」

「俺が他の人と食ったら乃々が一人になるけど?」


『それでもいいの?』と茜くんはぶっきらぼうに言った。


「良くないけど…でも、茜くんの邪魔はしたくないから、
茜くんが他の人と食べたいって言うなら、私もクラスで友達つくるし…」


友達できなくたって、教室で一人で食べてる人もいるし。

私が一人で食べればいい話。意外に落ち着いて食べれていいかもしれない。


茜くんが私と一緒が嫌だと言うなら、私から離れてあげるべきだよね…。


「……べつに俺はいいよ。
他のやつと行動したいと思ってないし」


茜くんは幼なじみだし、

私のことを一番知ってる人。

だから私は茜くんがいてくれると心強いけど…

私が茜くんの邪魔をしてたらやだな…。


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