甘さはひかえめで。
笑ってほしくて
早速訪れた体育(地獄)の時間。
「乃々、右!」
「はいッ!」
八神くんは指示通り、私の少し右にボールを落としてくる。
私はボールを受けようと腕を出したんだけど…
私の手首に当たったボールはあらぬところへ飛んでいってしまった…。
「……うぅ…」
「乃々、当てるだけでいい。
おまえ思いっきり腕振ってる」
八神くんが私の前で腰に手を当てて呆れている。
「わかってはいるんだけど…体が勝手に動いちゃう…」
理屈はわかるんだけど、慣れてないと体は動かないよ。
「……やっぱ結月さんにあんまボール渡さないようにするのが一番いいんじゃない?」
「それが一番助かる…」
チームのみんなは私に気を遣ってボールを渡さないよう提案してくれる。
女子一人なんだから、みんなと同じだけできると思わないでほしい!
私も頑張るけどさ!