甘さはひかえめで。



「……いや、おまえらはパス連でもしてて。
ちょっと乃々鍛えるわ」

「えぇ!?」


う゛…

八神くん、絶対スパルタでしょ…!


「私一人くらいカバーするって言ったのに…」

「全くできないまま終わるのは嫌だろ?」


……それはたしかに…そうかも。

八神くんの提案に拒否せずうなずくと、八神くんは私を連れて体育館の端の方に移動した。



「ボール来たら、
腕で跳ね返そうとすんな。
落下地点で構えて、膝使って受ける」


私に体の動かし方を教えながら、『わかった?』と八神くんが私に視線を送る。

うん、だからね、

理屈はわかるんだけど、体が動かなくてね。


「棒立ちで突っ立ってたら腕で返しちまうだろ。
いつ来てもいいように中腰で構えろ」


私に動きを教えるために、八神くんも中腰になって構え方を教えてくれる。

………いやー…


「……ガチじゃん」

「あぁ?
ガチじゃなかったらわざわざ教えねーだろ」


やる気あんのか?と私の頬をつねってくる八神くん。

こうやって意地悪されそうだったから嫌だったんだよ、同じチームになるの!

むぅ、と膨れていると、八神くんが真剣な顔で私を見た。


「全く動けてないわけじゃねぇ。
反応もしっかりできるし、体の動かし方覚えれば乃々もいい線いける」

「……」

「……なんだよ、急に黙りやがって」

「いや…べつに」


また厳しいこと言われるのかと思ったら、褒められた(?)からびっくりした。


八神くんでも、人のこと褒めたりできるんだな…。



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