甘さはひかえめで。
なんて祈ったところで、茜くんが来てくれるわけでもないのだけど…。
はぁ…とため息をつき、入学式へ向かおうと廊下に並ぶ。
男女で一列ずつ、出席番号順に並んでいくので
もちろんここでも、燿さんが隣…。
い、息が詰まりそうだ…。
「なあ」
「……えっ?あ…私?」
「そーおまえ。
名前なんていうの?」
「あっ…ゆ、結月です!
結月乃々!」
「乃々ね。
ふーん」
その『ふーん』は、どういう意味??
「中学どこ?」
「東第二…」
「遠くね?
あそこの奴って普通に東高行くのが多いんじゃねーの?」
「えっと…
私の頭じゃ厳しいと言われてしまったので…」
「ふーん。
バカなんだ?」
わー。めっちゃストレートに言うじゃん。
「あの…、
あなたも同じとこ来てるんだから、か、変わんなくないですか?」
言い返したら、
燿さんが「『あなた』じゃねぇよ」とポケットに手を突っ込みながら呟いた。
「八神燿だ」
「や、八神くん…」
「おー。
で、俺も同じ頭だとか言ったな?
たしかに良くはねーけど、俺は部活目当て。
こう見えてバレーやってる」