甘さはひかえめで。
*
いよいよ迎えた球技大会。
練習の時はスパルタ…かと思いきや、意外に優しく教えてくれた燿のおかげで
「初戦は危なげなく勝てたね」
「当然だろ」
初戦は圧勝だった。
コートの中で一緒にやってて思ったけど、
やっぱり燿は上手かった。
初戦が終わって、体育館の端の方に移動して、邪魔にならないところに座る。
「……あ」
バレーの試合が行われている体育館は、半分に区切られていて、もう半分はバスケの試合が行われている。
バレーは体育館の半分の範囲で3つコートがあるけど
バスケはコートが1つしかないから、一度にできる試合数が少なくなってしまうが故に人数が少ない。
だから、すぐ見つけられる。
茜くんがコートに入っていくのを見て、バスケの方に行こうと立ち上がった。
「……おい、どこ行くんだよ」
隣にいた燿が声をかけてくる。
「茜くん、試合みたいだから」
私たちの次の試合はまだのはず。
だったら茜くんの応援に行かなきゃ。
「……クラス違うやつ応援しにいくのかよ」
「茜くんは特別なの」
いつもお世話になってるし
なにより、茜くんがバスケしてる姿が見てみたい。