甘さはひかえめで。


茜くんと仲良いのかな…。


たくさんの声援を受けてる茜くん。

私の応援なんて、必要ないくらい。

ギュッと体操服の裾を握る。



茜くん…

私って、茜くんにとって必要ない存在?



ボーッと突っ立ったまま、バスケの試合が進んでいくのを見ていると

コートを駆け回る茜くんがボールを奪って

茜くんが放ったボールは、ゴールのリングに吸い込まれた。


カッコいい…。

やっぱり茜くん、なんでもできるね。

私の声援なんて聞こえないと思って小さく拍手してたら


「……」


茜くんがこっちをチラッと見て、

気付かれないようになのか、腰のあたりで控えめに手を振った。


……私が見てるの、気付いてた?

私も手を振り返そうと思ったら


「今めっちゃ控えめにウチに手振ってたんですけどぉ〜!」


キャッキャとさっき私にぶつかってきた女の子が友達とそう話してた。


……あ、そっか。私じゃなかったのか。


振り返そうとした手をおろして、

邪魔にならないように、ギャラリーの後ろの方へ移動した。


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