甘さはひかえめで。
燿は不安そうな顔をしてたけど、『信じる』と言って自分のポジションについた。
……私だって、今日まで燿に鍛えられたんだもん。
ちゃんとさっきから、相手の人が落としてくるボール見てた。
いつも私の構えてる場所の、少し前に落としてくる。
だから
「乃々!」
「はいっ!」
さっきまでカバーしに来てたけど、燿は私を信じて名前を呼んでくれる。
目もちょっとずつ慣れてきた。あの人のボール速いけど、
同じとこに落としてくるのなら、ビビらず前に出たら腕に当たるはず!
そう思って前に出たら
たぶん、その選択が間違っていたようで…。
「…ぶへっ!!」
………顔面直撃。
「ボール上がった!
(うわぁ結月さん顔面レシーブ…!)」
私はぶつかった衝撃で倒れちゃったけど、どうやらボールは繋がったみたいで
「燿!!」
「おらぁぁあ!!」
無事に燿が決めてくれたみたいで、
セットポイントを取って試合終了の笛が鳴った。
……あぁ、良かった。
最後、ちゃんと役に立てたみたい…。
「乃々!
大丈夫か!?」
「へへ…ちょっと顔面にクリーンヒットしちゃっただけだから、大丈夫…」