甘さはひかえめで。
駆け寄ってきた燿に、へへへと笑う。
ずっと横になったままだったから、
相手のチームのキャプテンさんも心配して『ごめん、大丈夫!?』って駆け寄ってきたけど、
『大丈夫です』と返して起き上がった。
「乃々、本当に大丈…」
「大丈…あ、鼻水…」
鼻から何か垂れてくる感じがして、手の甲で拭ったら…
「ぎゃあっ!鼻血だ!!」
手の甲についたのは真っ赤な液体で。
ボタボタッと流れてきた血が、手や腕を汚した。
「あーーハンカチ…!は持ち歩いてねーし…
ティッシュ…!おい誰かティッシュ持ってねーか!?」
燿がチームメイトのみんなに声をかけるけど、みんなティッシュは持ってない。
手で押さえながら急いで保健室に行こうとしたら。
「乃々、これで押さえて」
横から突然、茜くんの声がして
茜くんが長袖のジャージで私の鼻を押さえた。
「えっ…茜くんのジャージが…!」
血まみれになっちゃうよ…!
茜くんのジャージを汚すなんて申し訳なさすぎてすぐに離そうとすると
逆に茜くんは強引に押し付けてきた。