甘さはひかえめで。


「今日は使わないし、後で洗濯すればいいだけだから。とりあえずそれ押さえてな。
保健室行くよ」


茜くんが私の手を引いて立たせてくれて、

ちょっと立ちくらみがしてフラついたのを支えてくれた。


「……あ…
乃々、俺も保健室に…」


燿も一緒に立ち上がったけど、

茜くんが燿を手で制した。


「君はいいよ。何人も行ったら邪魔だろう?
俺が乃々を連れてくから大丈夫」

「……」


茜くんが何度も私に『大丈夫?』と言いながら体育館を出る。

私は大丈夫だけど…

その後の試合に影響が出ないかと心配になって、燿の方を見たら


「……っ…」


燿は悔しそうに顔を歪めていた。


……どうしてそんな顔するの?

試合には勝ったのに…


私、燿にそんな顔してほしかったわけじゃないよ。



燿に笑ってほしくて、頑張ったんだけどな…。


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