甘さはひかえめで。


すぐ隣に来て、あの男が乃々を支える姿を思い出すとムカムカする。

あんなの…俺なら自分のジャージ、すぐ出せねぇよ。


『茜クン』っつったっけ。

アイツとなんかあったんじゃないかって、思うだろ。気になるだろ。

気になって気になって、気にしないようにって思えば思うほど、

頭と体が上手くリンクしてくんないの。


「……たしかに、オレはおまえのチームに負けてその後試合なかったから良かったけど、
オレが勝ってても、怪我させた子のことは気になるな」

「ほらね」

「けどそこまでのミスはしない。
オレはキャプテンだからな」


ビシ、と俺を指差してくる先輩。

……言うだけなら、なんとでも。

まぁ、先輩からしたら乃々が怪我したところで本当に気にならないのかもしれないけど。


……俺は気になるよ。




………『好きな子』のことなら。



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