甘さはひかえめで。


「じゃ電話すれば?」

「……いきなり電話して乃々が出るわけないですよ」

「わかんねーじゃん。
一応掛けてみたら?
早くしないともう昼飯食べちゃってるかもだし」

「…わかりましたよ」


乃々が素直に俺の連絡に応えてくれたこと一度もないんだが?

先輩には悪いけど、出るわけねーよと思いながら乃々に電話をかけた。


「………」


10秒くらい、呼び出し音が続く。

ほら、やっぱり出ない。

無理だと思って切ろうとしたら


『もしもし』

「……!」


スマホの向こうから乃々の声がした。


……え、嘘。電話でた。

乃々が?なんで?

絶対に出ないと思ってた俺は、3秒くらい固まってしまって…


『もしもーし。おーい燿ー?』

「っあ…も、もしもし!」

『よかった、聞こえてないのかと思った』


やっと返事したら、乃々は嫌悪感を示すわけでもなく笑っていた。

……いつも俺からのメッセージとか無視するくせに、普通に話してる。

今日は、機嫌がいいとか?


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