甘さはひかえめで。
「だって、球技大会のときも、
結月さんにボールが当たった後、
椎名くん、血相変えて結月さんのもとに走っていったし…」
「茜くんは、幼なじみだから…
心配してくれただけだよ」
「……そうなの?」
明乃さんが不思議そうな顔をしてると、
日下くんが明乃さんの肩を叩いた。
「それ、燿の前では言うなよ?」
「あ?何を俺の前で言うなって?」
日下くんが明乃さんにそう言った瞬間、
タイミングがいいのか悪いのか、燿がちょうど登校してきて、日下くんを睨んだ。
「なに、俺の悪口?」
「ち、ちげーよ!
燿が不機嫌になる話題は避けようって話してて…」
「悪口言われても俺は不機嫌になるけど」
「だから、そーじゃないって!」
悪口言ってたなんて誤解されるくらいなら、
正直に言ったほうがいいんじゃないかな。
「私と茜くんが付き合ってるって思われてて、
誤解だよって話してただけだよ」