甘さはひかえめで。


この話題のどこに燿が不機嫌になる理由があるのかと思って話したんだけど。

日下くんは『あちゃー…』と額に手を当てて、

燿はむぎゅ、と私の頬を潰して、ぐっと私に顔を寄せてきた。


「誤解されるくらいおまえら距離ちけーんだよ。
もっと気をつけろや」

「ほ、ほへんなはい(ごめんなさい)…」


今の燿も近いですけど…?

しかも日下くんの言う通り、不機嫌になったし…。


「……椎名くんの名前は禁句ね…」

「そういうこと」


「なにコソコソ喋ってんだよ」

「いや、なにも!」


日下くんと明乃さんが喋ってたら、また燿が睨んで、

そのおかげで私は解放された。




「……で、
今日はその噂の茜クンと一緒じゃねーのかよ」


日下くんと明乃さんはもう移動して、二人きり。

私が移動するのを止めるように、燿は靴を履き替えながら聞いてきた。


いつも一緒に登校してるし、

下駄箱までは一緒にいるから、

今日、茜くんがいないことが不思議に思ったのかな。


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