甘さはひかえめで。


助けてくれるのはありがたいけど、やっぱり疲れるなぁって思って「はぁ…」とため息をつく。


早く帰りたい…茜くんに愚痴りたい…。

しょぼくれながら教室まで歩く。


それを、八神くんが不機嫌そうに見ていたことには、気付かなかった。






教室でのホームルームも終わり、

さあ帰ろうとリュックを背負った。


A組の方もガヤガヤしてるから、あっちも終わったんだろう。

茜くん待ってるかな?と思って、急いでA組の教室に向かおうとしたんだけど…。


「おい乃々待て」

「ぐえっ!」


教室を出ようとしたら、八神くんにリュックを引っ張られ、体も引っ張られたせいで変な声が出てしまった。


「……なに…」

「連絡先教えろ」

「え…」


……なんで?


べつに学校以外で用事もないし…用があれば学校で聞くし…

ていうか連絡先教えたら学校以外でも絶対意地悪言ってくるでしょ!?


「き、今日は急いでるので…!!」


『やだ』って言うとまた意地悪言われそうだし、今日のところは逃げよう。


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