甘さはひかえめで。
『特別』とは



その後、1限をサボってしまい

2限が始まる前に教室に戻ったら、日下くんや田中くんが心配してくれた。


「結月さん、気にしなくていいからな?」

「オレらは味方だから!
燿もそうだろ?」


田中くんが燿に問いかけたら

燿は「あたり前」と言って、静かに席についた。

その姿が、すごく怒ってるように見えて

さっきまでキャーキャー騒いでた女の子たちは、燿に近付くことはなかった。








そのままいつも通りに授業を受け、お昼休み。

お弁当を持ってA組に行こうとしたんだけど…


(……そうだ。今日、茜くんいないんだった)


教室を出ようとした足を止め、自分の席に戻った。


いつも通り、中庭で食べてもいいんだけど

一人であそこまで行くのも面倒だし、そろそろ虫とかも多くなってきたし…

今日は教室でお昼を食べよう。


自分の机にお弁当を広げようとしたら


「乃々」


私の隣に、ペットボトルのお茶を持って、片手はポケットに手を入れている燿が立っていた。


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