甘さはひかえめで。


って…『明乃さんも安心する』ってどういう意味?

燿の言葉に『え?』と反応すると、

日下くんが言いにくそうに口を開いた。


「…朝の、結月さんと一緒。
いつもこのメンバーで昼食ってるんだけど、
明乃、女子一人だから…」

「あ……」


『男に媚びうるためでしょ?
じゃなきゃ女子一人で男子ばっかのチーム入らないでしょ』


明乃さんも、悪口言われてるの…?


「だから女の子がいたほうが心強い」

「でも…」


私も悪口言われてる人間なのに…。

明乃さんを助けるどころか、余計に悪い印象を与えてしまうんじゃ…。


「乃々にとっても、女子と一緒のほうが安心するだろ?」


私の机を移動させてくっつけてくれた燿が、明乃さんの向かいの席を譲ってくれて、

燿は私の隣に椅子を置いてそう言った。


「……うん。ありがとう…」

「(こればっかりは、男の俺にできることにも限界があるしな…)
桑原も乃々が一緒で嬉しいだろ?」

「うん」


素直に喜んでる表情を見せる明乃さん。

かわいい人だよなぁ…。

そんな嬉しいって顔されたら、私だって嬉しくなっちゃうよ。


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