甘さはひかえめで。



「じゃあ、
俺はどんなに頑張っても茜クンを超えられない?」

「え?」

「茜クン以上にはなれねぇ?」


そう言う燿が、なんだか悲しそうに見えて…。


「……わかんない。
今は、難しいかもしれないけど、
いつかは茜くんと離れるときもくるかもしれないし…」


頭っから無理!とは言えなかった。


「そしたら俺も可能性ある?」

「可能性って、なんの?」

「乃々の『特別』になる可能性」


特別…。


『茜くんは特別なの』


あ。あの言葉を気にしてるの?


「燿は“幼なじみ”じゃないから、
特別にはなれないよ」

「乃々の言う『特別』は、『幼なじみ』って意味なのか?」

「え……」


頬杖をついて、上目遣いで私を見つめる燿。

燿にそう言われたとき、その言葉が引っかかって。


「……そういう、意味だと思う…」


アホな私には、どうしてそれが引っかかったのかはわからない。

ただ茜くんを『特別』と呼んでいる理由を表すのならば、それはたしかに『幼なじみ』でしかなくて。

燿の言ってることは正しい。


だけど、そうじゃないと思ってる自分もいる。


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