ラーメン屋さんの彪(タイガ)くん

マッキーさん
私はどおしたらいいですか?


大河原さんと1本の傘に2人で入ってます



「あの…」



息が止まりそうです



「どっち?」



「あ、右です」



マッキーさん助けて…



何か会話会話会話



彼女と別れたんですか?

気まず過ぎて聞けるわけない



「あ…
大河原さんは
テスト勉強しなくていんですか?」



「しねー…」



あ、そうですか



それとも
「死ね」と言われた?



怖い







沈黙が怖い



「あの…
私、体小さいからあんまり食べれなくて
でもあのお店のチャーハン好きで…」



「どっち?」



「あ、チャーハン…じゃなくて…
まだ真っ直ぐです」



当たり前だけど
大河原さんの指に
もぉググ&ミミの絆創膏はなかった


私のググ&ミミ
サヨウナラ



「あの…あの絆創膏
私の大好きなキャラクターので
最後の1枚で…もぉ売ってなくて…」



「左?」



「あぁ…まだ真っ直ぐです」



ぜんぜん会話噛み合ってない

ていうか大河原さん
私の話なんてどーでもいいよね



「次の信号渡ります」



あ…赤になっちゃう



「ググ&メメ?なにそれ?」



なった



大河原さんの足が止まった



「え?
あ…ググ&メメじゃなくてググ&ミミです!」



「メメは、オマエか…」



大河原さん
私の名前知ってる



「え、えっと…
ググはグレーのスコティッシュで
ミミはペルシャの白猫なんですよ!」



「ティッシュとか興味ない」



「ティッシュじゃなくて、猫です!
大河原さんは猫派ですか?犬派ですか?」



「うちに猫いる」



「えー、猫ちゃん飼ってるんですか?」



「妹が飼ってる」



アレ…普通に喋ってる



「大河原さん、妹さんいるんですね」



「たぶんいた」



「妹さん、なんて名前ですか?」



「知らん」



知らないわけないじゃん
教えたくないのか

それとも私と話したくないのかな



でもせっかく話せてるのに…



「じゃあ、猫ちゃんなんて名前ですか?」



「メメ」



「え!?」



信号が青になって
大河原さんが進んだから
私も慌てて進んだ



大河原さん
もしかしてマスクの下は笑ってる?



目が優しい



「そこ、曲がったら家です」



曲がり角で
大河原さんがさしてた傘を
私に持たせた

私の傘だけど



せっかく喋れたのに
もぉ家だ



「おつかれ」



そう言って大河原さんが傘から抜けた



「あ、大河原さん濡れちゃいますよ!
私すぐだから、コレ…傘…」



大河原さんの背中は
もぉ遠かった



「あ!おつかれさまでした!」



傘の中で私の声が響いた



聞こえないか…



大河原さん
きっと反対方向なのに…



もしかして
私を送って来てくれた?



初めておつかれって言われた

初めて結構話した



でも私
何喋ってるんだろう

チャーハンとか絆創膏とか
どーでもいいのに…



緊張しすぎて無理だった



はー…

やっぱり今日も疲れた



でも
いつもの疲れと何か違う



胸がドキドキしてる



メメって
大河原さんに呼ばれたし



※呼ばれたわけではない



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