ラーメン屋さんの彪(タイガ)くん
「お冷お待たせしました
ごゆっくりどーぞー…」
「あの…私…そろそろ帰ります」
やっと口を挟めた
「オマエいたんだ」
やっぱり気付いてなかった?
女としてじゃなくて
存在さえ気付かれてない
「プリン残ってんぞ」
「あ…」
ふたりの話が凄すぎて
食べるの忘れてた
「食べないならオレ食うけど…」
私が返事をする前に
大河原さんはプリンアラモードに手をつけた
甘いの食べないんじゃなかったの?
あー…私のプリンアラモード
今日も途中から味がしなかったな
「ほら…食え!」
大河原さんがプリンの上のさくらんぼを摘んで
私の口元にあてた
さくらんぼは
最後に食べようと思って取っておいた
さくらんぼを口に含んで
大河原さんを見たら…
ドキン…
めちゃくちゃ優しい顔をしてた
「オレ、最後にさくらんぼ食べる派」
え、今笑った?
「わ、私もです」
ドキン…