ラーメン屋さんの彪(タイガ)くん
電話は私が毎日します
大河原さんは眠くて寝ちゃう時もあるけど
毎日声が聴きたい
できれば会いたい
「大河原さん聞いてますか?」
「んー…聞いてるよ」
「寝てない?」
「寝てない
じゃあビデオ通話にする?
顔見たい」
「それはダメです
今パックしてるから…」
「尚更見たい」
「ダメ」
「じゃあオレだけ…」
画面に大河原さんが映った
キュン♡
「大河原さん、会いたいです」
「うんオレも
明日、バイト前にちょっと会う?」
「早くデートしたいな…」
「夏休みはできるだろ」
「夏休みですか…
大河原さんどこ行きたいですか?」
「オレは、別に…」
ん?
大河原さんはデートしたくないのかな?
「あ、前から思ってたけど…」
「なんですか?
どこ行きます?」
「オマエ、まだ敬語…」
「え?」
「もぉ敬語じゃなくてもいいし
呼び方も…」
今そんな話してた?
大河原さん、何気に話変えた
デート楽しみにしてるのは私だけか…
「呼び方って
大河原さんだって私のこと
オマエとか呼ぶじゃないですか!」
付き合う前なんてチビだったし!
ちゃんと名前呼ばれたことない
「じゃあ、なんて呼んでほしい?」
「なんて…って…
恥ずかしいから、いいです!
オマエでいいです!」
「今、照れてんの?
顔見たい」
「だ、ダメです!」
そーだ!
大河原さんのことも照れさせよう
「大河原さんは、なんて呼んでほしいですか?」
「フツーに、タイガ
他になんかある?」
呼んだら絶対照れるだろうな
画面に大河原さん映ってる
「じゃあ…
タイガ…
タイガー…さん…」
「え?」
「た、タイガーさん…」
ダメだ
こっちが恥ずかしい
「ブハ…ハハハハハ…」
画面の大河原さんが爆笑した
照れさせようと思って呼んだのに!
こっちが恥ずかしくなった
「タイガーさん…て…
マッキーさんみたいに呼ぶなよ
それ、ホントにトラだろ」
せっかく頑張ったのに…
画面の大河原さんはぜんぜん照れてない
やっぱり上級者だ
「まぁ、いいよ
今までどおりで…
敬語も、大河原さんて呼び方も
オマエの声も
好きだし…」
好き…
キュン♡
よくそんなこと照れずに言えますね
「オマエが遊園地行きたいなら
来週行こう
学校の帰りになるけど
観覧車ぐらい乗れるだろ」
ちゃんとデートのこと考えてくれてた
話変えたんじゃなかったんだ
「でも、大河原さんは
別にデートしたくないんでしょ!」
「そんなことないけど
オレはデートじゃなくても
オマエと一緒にいれればいい」
キュン♡
私、死にます
大河原さん
「来週、楽しみにしてますね!」
「うん
とりあえず、明日な
じゃ、オヤスミ…メメ」
え!
メメ!
「お、オヤスミなさい!
お、大河原さん!」
せっかく大河原さんが
メメって呼んでくれたのに
私は最後まで敬語で
最後まで大河原さんでした