私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望？

学園に着いて教室に向かうと、廊下でシャーロットに会った。
「あらお義姉様、今日はアレックス様はご一緒ではないのね」
「ええ。今日はご公務があって」
「お義姉様は、いつまでお城にいるつもりですか？　変な噂が立ってしまいますよ。では」
　シャーロットは私の前を通り過ぎていく。
　確かに、早く城を出なければと思う。
　でも、この頃アレックス様のそばにいるのが、心地よくて、ずっとこのままでいられたらって願う自分がいるのだ。
　教室に入ると、自分の机に【死ね】と書かれていて青ざめる。
　嫌がらせは毎日あるが、今までは持ち物がなくなったり、バッグを汚されていたりと地味なものだった。
【死ね】というひどい言葉を書かれると、精神的にかなりダメージを受ける。
　じっとその机を見ていたら、ルーカス様がやってきた。
「マリアちゃん、おはよう……って、これはひどいな」
「ちょっとビックリしちゃいますよね。授業が始まる前に拭かないと」
　無理矢理笑顔を作って、なにか拭く物を探すと、最近仲良くなった令嬢たちが私の机を拭き始めた。
「マリア様、ここは私たちに任せてください」
「……ありがとう」
　目頭が熱くなるのを感じながら、礼を言う。
　すると、ルーカス様が温かい目で微笑んだ。
「俺が慰めるまでもなかったね」
「あの……ルーカス様、アレックス様にはこのことは言わないでくださいね」
　アレックス様に余計な心配をかけたくない。ただでさえ、ご迷惑をおかけしているのだ。
「はいはい。わかってますよ」
　私がお願いすると、ルーカス様はにっこり笑って頷いた。
　その後、令嬢たちとお昼を食べて、教室に戻ろうと階段を下りていたら、男子学生に呼び止められた。
「これ、落とされませんでしたか？」
「え？」と振り返ったら、その男子学生に背中を思い切り押された。
　ふわっと身体が浮いて落下していく。