来世なんていらない
真翔…なんで…。

「あ…あれ…すみません。まつりのお母さん…ですか?あの…ちょっと気になることがあって慌てて迎えにきちゃって。すみません…」

ママは真翔を上から下まで見て、ニヤニヤと嫌な笑い方をした。

「ふーん。まつり、あんたやるじゃん。いいわよ、ゆっくりしていきなさい。私も今日は帰らないからー」

「え、いや…」

ママは手を振る代わりに通帳をひらひらと振って、出ていった。

一瞬シン…とした中で固まってしまった真翔だったけど、すぐに私に飛びついてきた。

私がハサミを握っていたからだ。

私が帰ってきた時から玄関にはママの荷物が散乱していて、その中には届いたばかりの宅配便の箱もあった。

箱を開けようとしている途中だったのか、傍にはハサミが落ちていた。

そのハサミを掴んで、今、腕に振り下ろそうとしていた。

「まつり!!!ダメだ!!!」

「やだ!!!離して!!!」

叫ぶ私の腕を床に押さえつけて、「力抜いて!」って宥めてくる。

無理矢理ハサミを奪ったら、私の手の平が切れると思ったのかもしれない。

「やだ!やだ!もう終わり!終わりなの!」

「終わらせない!まつり、俺が居るから。だいじょうぶだから!頼むよ!」

「ぅ…アアア…うあああああああッッッ…!!!」

痛い…痛いよ…
心が痛い…助けて…
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