来世なんていらない
「どう?学校行ける?」

「…」

「ここに居るよりはマシだろ?どうしてもまつりに見せたいもんがあるんだ」

「見せたい物…?」

「うん」

真翔が私の腕を引いて立ち上がらせる。
ちょっとよろけちゃったけど、私は立ち上がった。

「ちょっと待ってて…準備してくる…」

髪の毛を整えて、持っていく荷物をまとめて、玄関に戻った。

真翔と一緒にアパートを出る。

自然と手を繋いで、待ち合わせする予定だった河原の道をゆっくりと歩いた。

「ねぇ、本当になんでうちに来たの?」

「まつり、俺が送ったメッセージにいつも割と早く返信してくれるだろ?なのにさっきは変なタイミングで止まったからさ。なんとなく気になって。来て良かったよ」

「うん…良かった」

真翔はぎゅーって私の手を握った。
その手を私も握り返す。

やっぱり真翔の手はちょっと冷たい。

「見せたい物って何?」

「まだ内緒」

「えー気になる」

「てかまつりさ、なんか忘れてない?」

「え?何!?」

「…いやいいよ、後で。まつりってほんと面白いな」

「なんで!?」

「なんででも!」

真翔は何が面白いのか教えてくれないまま、繋いだ手を大きく振りながら歩いた。

時々子どもっぽくなる真翔が好きだ。
私の癒し。
心のお薬だ。
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