来世なんていらない
「まつり、もう切らなくていいんだよ」

「うん…」

「どうしてもまつりの中の衝動が抑えられなくて、苦しくてどうしようもなくなったら、まつりにはコレがある」

私の左手首をギュッとする。
冷たい真翔の手の平が好き。

「俺はさ、まつりが今まで苦しんでそれでも生きようとしてきたことを否定したくない。だから傷だってこのままでもいいと思う。それでもまつりがどうしても嫌で、傷を消したいならいつか俺が綺麗にしてあげる」

「どうやって?」

「なーいしょ」

「もう。真翔は内緒ばっかり」

「それはまつりもだろ」

そんなこと無いよってそっぽ向いた私に真翔が言った。

「もうカッターもハサミもまつりには必要無い。まつりの手は俺が繋いでてあげる」

「何それ。ミュージカル俳優みたい」

「うるせー」
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