来世なんていらない
小高くんとか、その周りの友達とかが集まり始めている。

十人くらいが集まっていて、どこよりも多い人数が集まっているから見つけやすい。

でも私は「仲間じゃない」って分かっているから、
やっぱりどうしても「お待たせ!」なんて笑って駆け寄る勇気も、権利も無い気がした。

やっぱりやめようかな。
どうせ誰も覚えてなんかいないだろうし。

小高くんの周りに集まった人だかりを見つめたまま、ゆっくりゆっくり後退りしていく。

誰も私のことなんて見てない。
気付かれない。

だったら今のうちに…。

クルッと後ろを向いて早歩きで歩き出した私の手首を、背後からグッと掴まれた。

「…!!!」

「どこ行くの」

振り返ったら、やっぱり小高くんだった。

なんでだろう。
涙が出そうになる。

悲しい?
惨め?
恥ずかしい?

それとも、小高くんが見つけてくれて嬉しかった?

まさか…。

「どこ行くの。みんな集まってるよ」

「やっぱり変だよ…」

「何が?」

「だってそうじゃない!私、あの人達と全然友達じゃないし、教室でも喋ったこともないんだよ!?小高くんだって変だよ!なんでタイプも違う、仲良くもない私を誘ったりしたの!?そのせいで私っ…」

「そのせいで、何?」

小高くんの声のトーンが低くなる。
少しだけ冷たい風がサラサラの小高くんの髪の毛をふわっと揺らした。

綺麗だと思った。
眩しくて、私とは違う生き物。

「そのせいで何?俺のせいで九条さん、何かされてるの?」

「…」

彼は何も気付いていない。
自分の一挙手一投足が誰かの心を鬼にすることを。
そうなるまで、自分が求められてるってことを。

「ねぇ、九条さん。それに俺とはタイプが違うって何?俺は九条さんと違う人間だなんて思ってないよ」

「違うよ!」

自分でも分かるくらい大声を出してしまった。
周りの人達が私と小高くんを見てる。

消えちゃいたい。
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