来世なんていらない
「あの…もうすぐ先生来ます」

「先生?」

「はい。もうすぐ来ると思うから、そろそろお喋りやめたほうが…」

「まだ来ないでしょ」

小高くんが言いかけてたら、教室のドアがガラッと音を立てて開いた。
今日からこのクラスの担任になる先生が入ってきて、席についてって大きな声で言った。

私の後ろでは小高くんが「ほんとだ」って小さい声で言った。

担任がこれからの挨拶を短くしてから、前の席から順番に自己紹介が始まった。
これも小学生の時から恒例だけど、何回やっても慣れない。
誰が私の名前なんて知りたいんだろう。

出席番号七番の私の順番はすぐに回ってきて、
「九条まつりです。宜しくお願いします」って自己紹介は一瞬で終わった。

出席番号八番の小高くんは、
椅子から立ち上がった瞬間に仲のいい男子からの小高コールが始まって、女子がキャアキャア騒いだ。

「うるせーよ!えっと、小高真翔です。宜しくお願いします」って笑顔で言った。
小高くんが立っている時間は誰よりも長かった。
< 4 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop