来世なんていらない
おにぎりを二個とも食べてしまって、グラスに注いだ麦茶を一気に飲み干してから、そのまま横になろうって思って体を倒しかけている時だった。
ガチャッ…ガチャガチャッ…ドンッ…って、玄関のドアのほうから音がした。
倒しかけた体を咄嗟に起こして、ニ、三秒静止した。
耳を澄ませる。
おーい、って小さく聞こえる。
聞き覚えのある声。
鍵をかけているから中には入ってこれない。
まるで自分のほうが泥棒になったみたいにそっと足音を立てないように歩いた。
玄関のドアまで行って魚眼レンズを覗く。
やっぱり。
ママの彼氏だ。
「おーい!」
「ママは居ません!」
外に聞こえるように大声を出す。
出来ればドアは開けたくない。
「あー、まつりちゃん?ちょっと開けてくんない?」
「ごめんなさい。ママは居ないし、私ちょっと忙しいんです」
「いいから。あいつが居ないの分かってっからさ」
「じゃあ何のご用ですか?」
「忘れ物してんだよ」
「じゃあ私が取ってきます。なんですか?」
一瞬、シーンってなって、帰ったのかと思ってもう一回レンズを覗こうとした時だった。
「いいから開けろっつってんだろ!」
今までとは比にならない大声。
きっと近所にも聞こえてる。
指先が震えてる。
開けなかったらどうなるのかな。
ママにチクられて酷く叱られるかも。
開けたってきっと酷い目に遭う…。
ガチャッ…ガチャガチャッ…ドンッ…って、玄関のドアのほうから音がした。
倒しかけた体を咄嗟に起こして、ニ、三秒静止した。
耳を澄ませる。
おーい、って小さく聞こえる。
聞き覚えのある声。
鍵をかけているから中には入ってこれない。
まるで自分のほうが泥棒になったみたいにそっと足音を立てないように歩いた。
玄関のドアまで行って魚眼レンズを覗く。
やっぱり。
ママの彼氏だ。
「おーい!」
「ママは居ません!」
外に聞こえるように大声を出す。
出来ればドアは開けたくない。
「あー、まつりちゃん?ちょっと開けてくんない?」
「ごめんなさい。ママは居ないし、私ちょっと忙しいんです」
「いいから。あいつが居ないの分かってっからさ」
「じゃあ何のご用ですか?」
「忘れ物してんだよ」
「じゃあ私が取ってきます。なんですか?」
一瞬、シーンってなって、帰ったのかと思ってもう一回レンズを覗こうとした時だった。
「いいから開けろっつってんだろ!」
今までとは比にならない大声。
きっと近所にも聞こえてる。
指先が震えてる。
開けなかったらどうなるのかな。
ママにチクられて酷く叱られるかも。
開けたってきっと酷い目に遭う…。