来世なんていらない
小高くんの時だけ盛り上がった以外は淡々と進んでいった自己紹介が終わって、
担任がプリントを配りながら明日からのスケジュールについて説明した。

さっきの自己紹介の時も今も、後ろから妙に視線を感じていて居心地が悪かった。

自意識過剰だと思うけど、何故か小高くんにジッと見られているような気がして、つむじらへんがムズムズした。

担任が配ったプリントには一年間の大まかな行事が書かれている。

五月十日。一年生歓迎遠足。
「歓迎」にしては、入学式から一ヶ月も過ぎている。
私達の時もそうだったけど。

遠足のことを思うと憂鬱だった。
一年の時の友達は今のクラスの人と行動するだろうし、あと一ヶ月で私に仲良しの子が出来るとは思えない。

一年の時はたまたまラッキーで話しかけてもらえただけだ。
そんな奇跡は二度も起こらないだろう。

今はただ目の前のプリントを見つめながら絶望するしかなかった。

休んじゃおうかな。
ふと思ったけれど、遠足を休んだって私には行く場所なんて無かった。
< 5 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop