来世なんていらない
担任の号令がかかる。

みんながガタガタと椅子を押しながら立ち上がる。

バラバラにペコペコと頭を下げて、担任は教室から出ていった。

急にワッと騒がしくなった教室。
何人もの人が小高くんの周りに集まって、もう遠足の話をしている。

そりゃあそっか。
スケジュール表の一番上に大きく書いてるんだもん。
みんなやっぱり気になるよね。

遠足はバスに乗って、県立の臨海公園に行く。
施設の真ん中にアスレチックもある公園があって、芝生もあるし、グルっと木々で囲まれた向こう側には海が広がっている。
この辺の学校では遠足の定番スポットだった。

「ねー、小高くん一緒にお弁当食べようよ」

「はー?真翔は俺達と食うんだって!」

「いいじゃん!私達も一緒でー」

みんながキャアキャアと小高くんを取り合う。
人気者は大変だ。

「俺、九条さんと食べるよ」

え…?

「え!?」

そこに居た誰もが大声を上げた。

私は声が出せなかった。
< 6 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop