来世なんていらない
「真翔。何言ってんの」

体ごと後ろを向く勇気は無くて、顔だけをちょっと横に向けた。

ちょっと見上げたら、腕を組んで怒ってるみたいな表情で小高くんを見下ろしてる女子。

この子、知ってる。

武田りいさ。

小高くんと同じで、一年の時から廊下ですれ違っていたし、数人の女子と騒いでるのをよく見かけた。

明るめの茶色い髪の毛で、まあるいくりくりした目。
たっぷりと付けたつけまつ毛が、折角くりくりした目の邪魔をしているみたいでもったいないって思った。

その目が、さっきの自己紹介の時からずっと、私のことを見ていたことにも気付いていた。

後ろからも教室の真ん中からも視線を感じていた私は本当に居心地が悪かった。

その視線が今はジーッと私と小高くんを見比べている。

武田りいさは私とは違う人種だ。
絶対に同じ世界線では相容れない存在だとお互いに思っているはず。

小高くんだってそうだ。
本来なら小高くんみたいな眩しい人間には私の名前すら呼んでもらえるような人生じゃない。

なのになんでこの人は、なんの壁をブチ壊そうとしているのだろう。
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