来世なんていらない
「こんなものを見せてごめんなさい。苦手な人も居ますよね。でもこれが…本当の私です。こういうことしてるってバレるのが怖くて、全然幸せに生きてないってことを知られるのが怖くて、私は私を隠しました」
「マジ…」
「けっこう…凄いね…」
「コレに最初に気付いてくれたのは小高くんでした。だから…夏服のことも先生に話してくれたんです。なのにごめんなさい。まだ初日なのに、もう意味無くなっちゃった…」
「まつり…」
「なんでこんなことをしてるかって、詳しいことまでは伏せさせてください…。それは私だけの問題じゃないから。でも、私はこうしないと生きていけなかった…」
「ソレやってどうなんの?」
「死にたくてやってんの?」
みんなが私に向かって疑問を投げる。
そのどれにも私ははっきりとした答えは出せない。
「死にたいとか、どうなるとか、本当は分かりません…。切ってる時は衝動的で、自分の中の膿みたいなものが破裂してしまいそうで、死にたいって言うよりも、何もかも全部消えちゃえばいいのにって感情…なのかな…。切っても残るのは傷と後悔だけ。今日も、明日もどうせ私は生きていかなきゃいけない。本当に死にたいんだとしても、死ぬ勇気なんて無い。だから、かまってちゃんだって、ただ優しくされたいからしてるだけだって思われても仕方ないと思う。けど…」
左腕の傷をそっと撫でた。
私が魔法使いだったら今のひと撫でで全部綺麗に消せるのに。
「けど、私…もう嫌なんです。こんな風に生きていくのはもう嫌。だから今、みんなにカミングアウトしてます。隠し事なんてもう無いから、何を言われても平気。本当の私を知った上で、このクラスに存在しててもいいって、私も…みんなの友達だって認めて欲しい」
「…」
「認めるって…」
「隠し事があることは悪いことじゃないって思う。誰でも隠したいこと、知られたくないことは持ってると思う。でもその苦しさが誰かの生きたいって気持ちを殺すなら、声に出していいと思う。助けてって声に出すのは怖いと思う。それこそ本当に死ぬほど勇気が必要だと思う。でも解ってくれる人は絶対に居る。だから、私もそうだって信じて、今みんなの時間をいただきました。ありがとう。私の話を聞いてくれて。嬉しかった」
深呼吸。
ドキドキはもうしてない。
大丈夫。
教卓の上のパーカーを取って羽織った。
あったかい。
「先生、ありがとうございました。ごめんなさい。今の時間だけ保健室行きます」
「え…えぇ、そうね。それがいいわ」
先生は止めなかった。
みんなの視線に見送られて、教室を出た、その瞬間にふっと足の力が抜けて、しゃがみ込んでしまった。
ドアの横の壁にぶつかって、ドンッて音がした。
「先生!俺、ついていっていい!?」
真翔の声がする。
どこまでも優しい。
教室を飛び出してきた真翔が「立てる?」って私の肩を抱いた。
「マジ…」
「けっこう…凄いね…」
「コレに最初に気付いてくれたのは小高くんでした。だから…夏服のことも先生に話してくれたんです。なのにごめんなさい。まだ初日なのに、もう意味無くなっちゃった…」
「まつり…」
「なんでこんなことをしてるかって、詳しいことまでは伏せさせてください…。それは私だけの問題じゃないから。でも、私はこうしないと生きていけなかった…」
「ソレやってどうなんの?」
「死にたくてやってんの?」
みんなが私に向かって疑問を投げる。
そのどれにも私ははっきりとした答えは出せない。
「死にたいとか、どうなるとか、本当は分かりません…。切ってる時は衝動的で、自分の中の膿みたいなものが破裂してしまいそうで、死にたいって言うよりも、何もかも全部消えちゃえばいいのにって感情…なのかな…。切っても残るのは傷と後悔だけ。今日も、明日もどうせ私は生きていかなきゃいけない。本当に死にたいんだとしても、死ぬ勇気なんて無い。だから、かまってちゃんだって、ただ優しくされたいからしてるだけだって思われても仕方ないと思う。けど…」
左腕の傷をそっと撫でた。
私が魔法使いだったら今のひと撫でで全部綺麗に消せるのに。
「けど、私…もう嫌なんです。こんな風に生きていくのはもう嫌。だから今、みんなにカミングアウトしてます。隠し事なんてもう無いから、何を言われても平気。本当の私を知った上で、このクラスに存在しててもいいって、私も…みんなの友達だって認めて欲しい」
「…」
「認めるって…」
「隠し事があることは悪いことじゃないって思う。誰でも隠したいこと、知られたくないことは持ってると思う。でもその苦しさが誰かの生きたいって気持ちを殺すなら、声に出していいと思う。助けてって声に出すのは怖いと思う。それこそ本当に死ぬほど勇気が必要だと思う。でも解ってくれる人は絶対に居る。だから、私もそうだって信じて、今みんなの時間をいただきました。ありがとう。私の話を聞いてくれて。嬉しかった」
深呼吸。
ドキドキはもうしてない。
大丈夫。
教卓の上のパーカーを取って羽織った。
あったかい。
「先生、ありがとうございました。ごめんなさい。今の時間だけ保健室行きます」
「え…えぇ、そうね。それがいいわ」
先生は止めなかった。
みんなの視線に見送られて、教室を出た、その瞬間にふっと足の力が抜けて、しゃがみ込んでしまった。
ドアの横の壁にぶつかって、ドンッて音がした。
「先生!俺、ついていっていい!?」
真翔の声がする。
どこまでも優しい。
教室を飛び出してきた真翔が「立てる?」って私の肩を抱いた。