零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
その時だ。

大きな音が響き、見ると芹奈が案の定、
棚にぶつかって転んだのか床にペタリと座り込んでいた。

あっ!あいつ……!

洗濯物を放りなげて慌てて駆け寄ると既に下唇を噛んでいる所だった。

あぁ……泣くかなぁ…。すげぇ噛んでる…。

「芹奈……っ、大丈夫か!?どっかぶつけてないか!?」

そう尋ねるが
俺を見つめる目の表面がうるうるとしだした。

かと思ったら珍しく声を上げず
ポロン…と一滴の涙を流した。

「…っ」

まるで女優みたいな泣き方だ…。

なんて思ってたらグイッ、と服を引っ張られた。

「ももきぃ…」

「どうした?」

「プチキュアごっこしよ……?」

「・ ・ ・」

え、この状況で……?

「芹奈……、そんなのはいいから、寝てろ、って…」

「やだああああああああーーーー!!!!!
しよーー!しよしよしよ!!」

……ったく、こいつは……

地団駄を踏んでぐずり始めてしまったので
仕方なく付き合う事に……。

「1回だけだぞ?そしたら寝るんだぞ?分かったか?」

言い聞かせるようにそう言うと
「うんっ!」と、首を縦に振って満面の笑みを俺に向けた。
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