零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
しかしジュエルはすぐに首を振った。

「いや…、芹奈っちは東島のクソ野郎の事すげぇ好きなんだよ。東島のクソ野郎だって、それ知ってるでしょ?そんな簡単に…」

「……」

芹奈が今、どれだけ俺を好いてくれてるか分からない。

でも俺は今ヘタすれば殺されても全然おかしくない状況だ。

紫音は元々殺人で少年院に入っていた奴なんだから。

誰かが‪”死ぬかもしれない‪”の不安は
兄ちゃん亡くしたばっかりの芹奈には重すぎる。

「いや、…頼む」

今俺と過ごすのはどう考えても危険だ。

ジュエルは眉を顰めた。

「でも…」

「頼む。俺と居て芹奈に危害が加わるのだけは嫌なんだ」

俺がこの子を守る、と決めたあの日から
俺の意思は何1つ変わってない。

芹奈だけは……守り抜きたい。

それはきっと海里さんも望んでいる事だ。

庇いきれなかった、守りきれなかった、
じゃ、もう…すまないんだよ。

「……分かった、でも芹奈っちにはなんて言うの?」

「…上手いこと言っとくから」
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