零愛ー俺が必ずこの子を守るー
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「あ〜…似てるなぁ…海里さんにそっくり……。この目元も……唇も…全部……」
目を覚ますと薄暗い部屋の中。
私は誰かに頭を撫でられてていた。
「誰…っ」
距離を取ろうと体を起き上がらそうとするけれどコンクリートの地面に自分の頬がぴったりくっいていて身動きが取れなかった。
いつの間にか手は後ろに回され、私の両手と両足は太い紐でキツく結ばれている。
なに……これ…………。
恐怖で全身が震えていった…。
「あっ、起きた?おはよう。芹奈ちゃん」
満面の笑みで私を見下ろすのはさっきの人だった。
無造作な銀髪の髪を揺らしながら、鋭い切れ長の目を私に向けている。
唇の端から尖った八重歯を覗かせて、微笑んでいた。
「誰……なの…」
もう1度尋ねるとその人は私の耳元に顔を近付けて不気味な声を発した。
「紫音だよ。会うのは初めてだよね。」
耳に僅かに当たる吐息に背筋がぞわぁとなった。肩を竦めて目をギュッと強く瞑る。
「し……おん?」
ーー((ねぇ、そういえばさ、零愛に”シオン”?って人、いる?))
脳裏に過ぎるのは数ヶ月前に桃季にした質問だった。
あの時。桃季は確か……そんな人いない、って言ってた……。
もしかして……この人…??
「てか、ずーっと寝言で、もももも言ってたけど、東島のこと?」